ご寄付のお願い(北海学園パイオニア基金)

文学研究科Top page of Graduate School of Letters

研究科長からのご挨拶

〈新人文主義〉による学びの復興


文学研究科長
手塚 薫

文学研究科は、北緯43度という北の大地から〈新人文主義〉を教育と研究両面において実践する目的で1999年4月に開設されました。ルネサンス期に端を発する〈人文主義〉が行き着いた先の、世界の一部である人間が世界を対象化し、それらを客体として支配する特別な存在であるとする人間至上的な『近代』思想を批判的に省察する営みにほかなりません。

中央教育審議会による「人文科学・社会科学系における大学院教育改革の方向性 中間とりまとめ」(2022年8月)には、価値発見・価値創造的な視座を提供する両分野に高い期待が寄せられつつも、修士・博士課程の修了者数が極めて少ないと記されています。人文科学の高度人材の能力や活躍が、大学と産業界、あるいは学生との間で十分に共有されていないことが問題視され、大学院の人材養成目的の明確化が求められています。しかし、本研究科の教育は職業人の養成よりもむしろ、大学を離れた後にも主体的な学びを継続し、共同体のなかで市民として社会に責任を持ちつつ生きる力、すなわち人生の糧を育むことにあります。教育はサプライヤーと顧客間のビジネスではなく、善意で駆動する領域が広いので、研究指導を可視化しようとする流れは筋がよいとも思えません。本研究科で教育を受けた院生が人間的に成熟し、共同体を支え、次代の成長を促す形で、その便益は再生産されます。教育の恩恵を受けるのは、学位を取得した院生本人や特定企業ではなく、社会の方です。視野狭窄に陥り、教育の本質を見誤ってはなりません。

私たちが研究室で史料を読み解くとき、あるいはフィールドワークで誰かの語りに耳を傾けるとき、そこにあるのは、「私という主観」と、歴史や他者という「異なる主観」との不断の対話です。自己と他者の共通点、相違点に気づくことによる間主観的な世界理解が共感の土壌を耕し、複眼的に世界を観る力を養います。はじめは自分と類似した相手にしか共感を抱けなかった若者でも、文学作品や映画のなかで他者の苦悩を知り、共感できる人の範囲も拡がっていきます。文学研究科で学ぶ者は誰でも、〈新人文学〉の視座から、混とんとして一向に出口の見えない現代のなかで、自分の足元を見つめ直し、人間とは何かを探究しつづけてほしいと願っています。

大学院進学を希望される皆様へ

文学研究科では、メールもしくは電話でのご相談を受けつけています。また、ご希望の方には、オンライン・ビデオ会議システムを使用した相談も可能です。担当教員が対応しますので、以下の手順に沿ってメールでお申し込みください。

1. 相談窓口 (jinbun〇hgu.jp※〇を@に変換) に相談方法の希望を連絡する。
①氏名、②連絡先メールアドレス、③日本文化・英米文化専攻の別、④おおよその研究分野やテーマ、⑤メール・電話・オンライン・ビデオ会議システムのいずれを希望するかについてお知らせください(オンライン・ビデオ会議システムの場合はZoom等の使用ツールも記入)。

2. その後、担当者よりご連絡いただいたメールアドレスに返信して相談日時・方法の調整をさせていただきます。

日本文化専攻 修士課程・博士(後期)課程
英米文化専攻 修士課程・博士(後期)課程

北の大地を豊かな教育の場とし、社会に根ざした活動を行う文学研究科では、両専攻とも「言語文化(文学と言語学)」、「思想」、「歴史」、「環境と文化」の四分野を視野に入れながら新人文学の可能性を探ります。そのうえで、日本文化専攻はこれらが提起してきた課題を歴史的背景を踏まえて理解し、豊かな文化創造を主体的に担いうる人材の養成を目指しています。英米文化専攻は、日本にとって欧米世界とは何かを問いかけ、国際社会の中で自立しうる人材を養成します。

教育研究上の目的

日本文化専攻は、暮らしのかたちである文化を己の目でみつめ、己の心に根ざした思いを問い質す営みをとおし、日本文化の創造的発展を担いうる人物の養成を目的とする。英米文化専攻は、ヨーロッパ社会が生み育てた近代文明を根底から問う営みをとおし、日本文化を創造的に覚醒しうる人物の養成を目的とする。
(研究科規則第2条第3項)

開設年 1999(平成11)年  日本文化専攻修士課程 開設
2001(平成13)年  日本文化専攻博士(後期)課程 開設
2003(平成15)年  英米文化専攻修士課程 開設
2005(平成17)年  英米文化専攻博士(後期)課程 開設
入学定員 日本文化専攻 修士課程      5人
日本文化専攻 博士(後期)課程  2人
英米文化専攻 修士課程      5人
英米文化専攻 博士(後期)課程  2人

双方向型リアルタイム遠隔授業

国内の遠隔地に在住しているなどの事由により通学が困難であると本研究科が認めた場合には、修士課程に限り、修了要件のすべての科目をオンライン・ビデオ会議システムを使った双方向型リアルタイム遠隔授業によって例外的に履修することができる。ただし、全体ゼミ(中間発表会)および口述修了試験は、対面を原則とする。

※『大学院要覧』は2025年6月作成の内容です